架空の死と現実の死を重ねてしまう話~ワニくんの100日を追い続けた先で感じたこと(前編)

今、絶賛話題になっている事柄を取り上げるのことをあまりやってこなかった当ブログですが、
管理人自身とても思う所があり書いてはみたものの、ブログに挙げてしまってよいのか大変迷いました。
それでも今回は渦中覚めやらぬ中で敢えて取り上げてみたいと思います。

 

そう、あのTwitter4コマ「100日後に死ぬワニ」です。
ついに3/20に最終回を迎えました。

 

漫画自体は桜咲く中での出来事をはっきりとした形での描写はないものの、心に響く最期でありました。何度も何度も読み返しました。

まあ、無事到着点に達して、しみじみ考えていたところに飛び込んできたのが、映画化・グッズ化などのプロモーション告知。

喜びの声もある中に、
なんとも言えないもやっとしたものを感じた人もまたそれなりにいて、
賛否が飛び交った結果、プロモーションの方法を巡る関与の誤解で大炎上してしまい、
結果作家さん本人と関わったバンドメンバーのリーダーさんが経緯を説明する動画を公開するというところに至っています。(3/21時点)


※3/22AMに作者本人の言及ツイートが発表されましたが、この記事はその前に作成しましたので、この記事では触れません。


マネタイズ歓迎・正当であるという声が上がる中での、最終回公開の時点での私の感想は、作家さんには大変申し訳ないのですが、その情報を知った瞬間、何だか悲しくなってしまったのです。

 

マネタイズが「歓迎・正当である」という言い分はわかります。

100日間、定刻更新の為に描き続けた労力は相当なものだったことでしょう。
先を予想するリプライ4コマもちらほら見かけ、連載を続けるには心労察するに余りあるところもあります。
なので、それなりの対価を得ることは妥当であるというのは、至極尤もな話。
話が進むにつれ、話題に火がつき、各社プロモーションがかかったということも想像できます。
ですので、書籍化・映画化・グッズ化という流れは止められませんし、いずれも悪いとは思いません。

 

ただ。
やっぱり私はもやっとしてしまう。

 

それは普通に「楽しむだけの4コマ連載」とは少し違う感覚で読んでいました。
私は100日目の最終回を創作物の最期と捉えておらず、「あのワニくんの最期(命日)」という風に捉えていました。

 

そもそもこの4コマ連載は「死ぬこと前提」で話が進んでいます。
どんな「死」を迎えるのか、「死」が迫りつつある中、「彼の死」をどういう風に受け止めればいいのか、
架空の話ではあるものの、現実の死と錯覚するくらい私自身は強い思いを持って日々の更新を待ち、見守っていたのです。
笑われるかもしれないけども、たぶんワニくんと同じ時間軸で、私も一緒に生きていたのかもしれない。

 

そして迎えた最期。

 

「現実に生きる人の死と同じように、静かに弔いたい」という気持ちが強く出ました。

どんな気持ちでワニくんはみんなの元へ向かっていたのだろう、これから先どうやって生きていくはずだったのだろうと。

 

そんな余韻にふけり、思いしのびたいと思った矢先に飛び込んできたのが、例のプロモーション情報だったのです。

 

半ばワニくんの死を冒涜されているかのようにすら感じられてしまいました。架空の話なのに。
私のはどうしても「創作物の最期」とだけには思えませんでした。

 

それは私自身が比較的、身近な人の死や葬儀参列の経験の多さが影響しているような気がします。
小3の頃の母方の祖母の死から始まり、同級生の不慮の死、ネットで知り合って相談を受け、実際話したことのある人の自殺など、
親戚やご近所、職場関連での葬儀・火葬場参列等、かなり遭遇してきていると思っています。
そういう所から、死に対しては「真摯に粛々と弔うもの」という認識が強くあります。

 

これも笑われるかもしれませんが、ワニくんにもこれまで触れてきた「死」の経験の延長として、同等の気持ちを持っていました。

 

「創作として、反応がある内の告知は経済活動的に当然だ」という理解はもちろんあります。

 

しかし、私はそれを凌駕するくらい気持ちが揺さぶられたのです。
だから、
「少し静かにワニくんを弔うことはできないのか」「その余韻にすら浸ることすら許されないのか」
一読者として、どうしてもそのように思ってしまいます。

 

もう少し強いことを言ってしまうと、「経済活動だ」と言い切ってしまえるのは、
実際の死に直面し、人の死を弔う経験のない人なのではないかとすら思えてしまうのです。


最終回公開の時点では
大げさかもしれませんが「死のマネタイズ化」のような衝撃を受け、どうしても私は一人悲しくなってしまったたわけです。
と同時に、一定の熱量を持って読んでいた一読者として、「どういった経緯でこうしたプロモーションになったのか」という説明と、作者さん本人の言葉があれば良いなあとも思っていました。
ワニくんプロモーションの件は別会社に一任しているような印象だったので、ご本人からの説明は難しいかもしれないとすら最終回公開日の時点では感じていたのです。

 

思いのほか長いので後編に続きます…