4時禁について思うこと

先日話題になっていましたが、「4時禁 *1」なる言葉があるそうで。
朝のワイドショーでその言葉を取り上げられていた様子を私は偶然見ていました。 

岐阜周辺の中学校でそういう習慣があるとのことで、辺境の田舎出身の私の中ではそんなことは聞いたことも経験したこともありませんでした。

 

番組での取り上げられ方は、「4時禁」を擁護する意見もほんの少し挟みつつも、「4時禁はおかしい、間違っている」というスタンスでの構成であり、スタジオコメンテーターもその流れに乗っかるという形で展開されているように見えました。

 

それを受け、私が思うのは『そんなに4時禁って悪いものなのかな?』ということです。
生粋の内向型人間の私にすれば、4時まで自宅でこっそりひっそり過ごせるなんて至福以外の何物でもないと考えるタイプだからです。

 

私の昔話をしましょう。

 

私が中学生の頃は、「学校全体で部活動を推奨する」という、半ば義務のような位置付けをされていました。
そういう背景もあり、病院やケガ、家族の不幸のようなよっぽどの理由がない限り、部活動を休むなんてことは許される雰囲気ではなかったわけです。

子供の数が限られる辺境の田舎地域なので、学校外のクラブチームなんて存在しません。
ですから、学校の部活動が地域のクラブチームと同様の扱いだったわけです。
よって、授業が土曜や平日が半日の場合は、お昼休憩で自宅に帰り(もしくはお弁当持参で)、食事を済ませた後にそのまま部活動に参加し、夕暮れまで練習するというのが当たり前のルーティンになっていました。

そもそも私自身、部活動を始めた経緯が、それをやりたくてやっていたわけではなく、断るに断れない状況の中でやむなく始めたようなものでした。
自分のペースで参加できるような(イメージのある)美術部のような文化系の部活動ならまだしも、文化系なのに半ば体育会系さながらの吹奏楽部に所属していたので、毎日の練習も乗り気じゃないところに、そういう半日授業時後の部活動というのは、正直大嫌いだったのです。
(まあ、私自身、自宅に帰っても正直生きた心地はしないような感じだったので、どっちもどっちなのですが、それはまた別のお話。)

 

前述の通り、どの部活動に入っても、気軽に休める雰囲気ではないので、「少し体調悪くて大事を取って休みたいな」と思っても、それをおして部活に出ることは当然のこととして認識されていました。
特に吹奏楽部は「一日休むと三日遅れる」とか「せっかくできた口の形が休むと崩れる」とか言われ、下手すると体育会系部活動より休むことに対しては厳しかったかもしれません。

 

まあ、私の昔話はこの辺にしておきましょう。


とにかく、そんな感じで中学時代の放課後生活を送っていたため、今回の「4時禁」の話は何のことだかさっぱりわかりませんでした。
その時間帯は部活動やっているものではないのか?と思ってしまったのです。

ところがそうじゃない地域もあるらしい…そして帰宅後にはその時間まで自宅待機という実体らしい…。
学校で部活動を行っているという話は何一つ出ませんでした。


ワイドショー内では、「4時禁」擁護の意見はすっかり霞んでしまい、「外出できないのはおかしい」だの「学校側が生徒の行動を決めてしまうのはいかがなものか」だのと全否定の勢いでした。
余りに「4時禁」に対して否定的な流れが出来上がっていて、そっちの方がよっぽど気持ち悪いなと感じました。

 

前述通り、私自身は4時禁は決して悪いものではないという感覚でいます。
私のように一人でひっそり過ごすことを好む人間には、こんな至福な時間はないのではないかと思わずにいられないのです。
それをそんなに大騒ぎする必要があるのかが私にはわかりません。

 

今は放課後の学童クラブがある地域もあるという事例から、それに習って導入してみてはいいのではないかと思うし、
体を動かしたいと生徒達には、学校部活動か地域クラブチームを準備したらいい。

そういう仕組みすら作れないくらい、学校として疲弊しているのか…それなら何も言えないのですが。

 

番組の中では、「4時禁」そのものを廃止した学校の事例を紹介していたので、そうできるのであれば、それでもいいと思います。

ただ、私が言いたいのは、「部活動や学童をやれ!4時禁を廃止しろ!」というものではありません。

家で過ごすことを悪のように見なしている風に見えることが、そもそもおかしいような気がしているのです。

今の世の中は外向き意識の活発さが良しとされる社会であることは認めます。その視点から見ると「元気な子供たちを家に閉じ込めるなんて!」という風になるでしょう。
ただ、世間にはそっとしておいてほしい、静かに過ごしたい、家にいるのが苦にならないような内向き気質を持ち合わせている人間も少なからず存在するということも知ってほしいのです。
そうした人間から見れば、4時禁について違和感はないだろうし、むしろ歓迎な向きもあるのではないでしょうか。

 

正直私は4時禁がうらやましいと思います。
当時の私は(現在の私から見ても)部活なぞせず、(自宅が安心できる場所であれば)自分の部屋でひっそり本を読んだり、絵をかいたり、音楽を聴いたりしてみたかった生徒だったのです。


それ以外の他意はなく、私が「4時禁」を知って感じたのは、ただそれだけなのでした。

 

*1:学校の授業がどれだけ早く終わってもすぐに下校・帰宅をして、夕方4時(16時)までは外出を禁じ、自宅で勉学や読書などを行う時間に充てること。下校時刻から4時までの間は教師が車などで学校周りや街を巡回し、遊んでいる生徒を見つけると強制的に反省文を書かせるなどの処罰を与える。中学校だけでなく小学校でも4時禁が出ているところがある。ただし校則として明記している学校は少なくほとんどが口頭指導によるもの【言葉の手帳さんより】